この記事では外国人がインドネシアで別荘を所有するために知っておきたい基本情報を解説しています。
バリ島や、インドネシアの島々で別荘を所有することに興味を持たれた方、移住をご検討されている方に、これらの情報がご参考となれば幸いです。
インドネシア・バリ島の別荘
バリ島には欧米人のオーナーが建てた、贅沢な別荘がたくさん存在しています。
開放的なリビング、プールとお庭、リゾート感ある洗練されたデザインの建物が多く、利用者が快適な休暇を過ごすための家、バリ島では別荘のことを「Villa(ヴィラ)」と呼びます。
インドネシアは先進国の他の国よりも物価が安いため、生活コストを抑えながら長期滞在ができることから、一軒家タイプのヴィラを借りてワーケーションステイをする人がとても増えました。
バリ島で一軒家の別荘を借りた場合の賃料は、ハワイよりも圧倒的に安く借りることができるので、結婚式やプライベートパーティーなど、イベントを行う目的で、豪邸クラスのヴィラを借りて楽しむという使われ方もされます。
インドネシアでは外国人の土地の所有権が認められていないにも関わらず、別荘に関してはバリ島を中心に多くの不動産が外国人によって取引されているというユニークな特徴があります。
個人のオーナーが所有する一軒家の別荘(プライベートヴィラ)は、AirbnbやAgodaなどの民泊サイトや宿泊サイトを通じてツーリストも気軽に泊まることができます。
ヴィラは宿泊施設として運営したり、人に貸し出して家賃収入を稼ぐことができるので、投資目的としてヴィラを所有している人も多く、今日でも沢山の物件が取引されています。
2020年3月頃から始まった世界的なコロナウイルス流行の影響で、外国人の入国規制によって観光客の来島が途絶えてしまいました。それによって外国人ツーリストを頼りに集客していた宿泊施設は大きな損失を被り、多くのホテルやヴィラでは運営が立ち行かなくなってしまい、売りに出される物件が増えました。
現在もコロナの影響が続いていることで、物件を売却したい売主も多く、このタイミングで値下がりした物件を狙って、購入するという人も出てきており、バリ島の不動産は大きな変動時期を迎えています。
外国人の観光再開後も、すぐに利用者が戻ってくることは考えづらいですが、世界の動向的にこれから徐々に観光経済回復の兆しが見えており、それに伴い新たな開発が徐々に活発になってきています。
別荘の種類
別荘のことを「ヴィラ」というと述べましたが、ヴィラといっても色々なタイプがあります。
このパートでは、どんなヴィラがあるのか、代表的なヴィラの種類を3つご紹介します。
プライベートヴィラ(一軒家タイプの別荘)
ヴィラと聞いて一番イメージしやすいのが、「プール庭付きの一軒家(一戸建て)のプライベートヴィラ」です。
移住している外国人が自分の家として住んだり、バケーション時期にだけ滞在する別荘として使われたりします。
オーナーは自分が使わない期間はレンタルに出して家賃収入を得ることができますが、既に沢山のプライベートヴィラがあるので、投資目的の場合はロケーション選びが一番肝心です。
バリ島はチャングー、スミニャック、ウマラス、クロボカン、サヌール、ウブド、ブキット地区などが、プライベートヴィラがとても多い地域です。繁華街に近いロケーションに建てられた物件は生活のための利便性が高く、山や海の近くに建てられている物件は豊かな自然環境を楽しむことを目的にその場所が選ばれています。
小さいヴィラだと100~200㎡ぐらいのコンパクトな土地サイズの物件があり、大きいものは10,000㎡を超える豪邸クラスのプライベートヴィラというのもあります。
売買されている物件は、オーナーの自由な趣味が詰まったユニークなコンセプトの建物が多く、内装インテリアや家具が付いた状態の物件も多く販売されています。
コンプレックスヴィラ(集合タイプの別荘)
同じ敷地内に、同じ造りの建物が2つ以上並んで建てられている状態のヴィラを「コンプレックスタイプのヴィラ」と呼んだりします。
プライベートヴィラと同じように、基本設備としてプールや庭があり、居住用や賃貸用として使うことができます。
このタイプは、ディベロッパーや投資家などが、新築のヴィラを建売で販売しているというケースが多く、家具が付いていない物件は自分の好みで買い揃えることができます。
プレビルド(建設されていない状態)で販売されている案件もあり、一軒家タイプのプライベートヴィラと比較すると割安な値段で販売されています。
リゾートヴィラ(運営管理付きタイプの別荘)
観光客が通年利用する宿泊施設として運営されているのが、「リゾートヴィラ」です。
バリ島には非常に多くのリゾート系のヴィラがあり、数棟のみの小さな宿泊施設もあれば、数ヘクタールの広大な土地に建てられた5つ星リゾートまで様々なバラエティーの宿を見つけることができます。
宿泊者が利用できる、大きなスイミングプール、バー、レストラン、スパ、ブティックなど、パブリックな設備を備えた本格的なリゾート施設があるのが特徴です。
世界中の有名なホテルチェーンが運営しているリゾートでは、ゲストリレーションスタッフがいて、充実したホスピタリティーサービスを受けることができます。
リゾートヴィラの運営は「ツーリストが宿泊を楽しむためのサービスを提供すること」がコンセプトになっております。
別荘(ヴィラ)の販売案件の中には、このようなリゾートヴィラの中にあるユニット(棟)を購入できるものもあり、通常はリゾート運営会社が建物の管理や集客、宿泊運営全般をおこなってくれます。
「バリ島 ヴィラ」と日本語検索で出て来る情報は、観光客が泊まるための宿泊施設として運営されているリゾートヴィラの情報が殆どです。
外国人が別荘を所有するには
このパートでは「外国人がインドネシアで別荘を所有するための方法」を解説します。
外国人は登記上の「土地の所有者」になることは認められていませんが、借地権や使用権、建設権など、いくつかの方法を使って土地を利用することができます。
権利についての詳しい情報は別の記事で説明しますが、ここでは簡単に「フリーホールドとリースホールドの2種類のパターン」があることについて説明します。
フリーホールドとリースホールド
フリーホールド(Freehold)とは土地の「所有権利の売買」であり、リースホールドとは土地の「借地権利の売買」という認識です。
フリーホールドの物件はインドネシアでは『Hak Milik(ハク・ミリク)』と呼び、直訳すると「所有権利」で、Hak Milikはインドネシア国籍の個人にのみ認められた権利であり、外国人はこの権利を所有することができません。土地の登記簿には所有者の名前と売買履歴が書き記されます。
リースホールドの物件はインドネシアで『Hak Sewa(ハク・セワ)』と呼ばれ、「借地権利」の取引となります。外国人でも土地のオーナーと直接契約を交わすことで一定の期間土地を借りることができます。リースホールドとは「借主と貸主との間で取り交わされる同意契約」なので、土地の持ち主は変わらないため登記簿上は何も変更が加えられません。
リースホールドは通常25~30年ぐらいの契約期間を設け、リース契約期間の間、契約者はその土地を使って居住用や商業用の建物を建てることができます。契約期間が終了すると土地の使用権利は地主に返却されます。
またリタイアメント移住などの長期滞在でキタスビザ(もしくはキタップ)を持つ外国人の個人や、現地に会社を持つ人などの場合は、使用権や建設使用権という、所有権利に近い条件でフリーホールドの土地を使用することもできます。
別荘の販売情報を見てみると、”Freehold”か”Leasehold”のどちらかが記載されています。
完成された物件を購入する
既に完成されている別荘を購入するケースでは、建物を見て気に入ったら購入を決めるという流れになります。
ヴィラの売主が外国人であることも多いので、購入の際には、元の地主(インドネシア人)とどういう契約を結んで建てられた家なのかを知る必要があります。
リースホールドの物件は、売主の外国人がインドネシア人の地主から借りた土地の上に家を建て、残りのリース残存期間の権利と建物をセットで売買しているというものがもっとも多いです。
フリーホールドの物件は土地の所有権利と建物の売買であることを意味します。売主が外国人の場合は、外国人は土地所有者になれないというルールがあるため、ノミニ―(インドネシア人の名義人)が登記上の持ち主になっています。
フリーホールドを購入する場合は、ノミニ―になってくれる人物と契約して土地の所有者になって貰うか、キタスホルダー(居住許可を持つ外国人)であれば使用権、法人企業を所有している方であれば建設使用権を使うなどの方法があります。
土地を探して別荘を建てる
気に入ったロケーションの土地を更地で購入し、別荘を建てるということも可能です。
土地のみで購入する場合もフリーホールド(所有権)とリースホールド(借地権)の二種類のパターンがありますので、権利の違いをよく理解した上で目的を判断し、購入を検討するようにしましょう。
土地から建てる場合は、自分好みのデザインの別荘を建てることができます。建物の設計を自分で行っても良いですし、プロの建築デザイナーに建築図面を作成して貰うことも自由にアレンジが可能です。
近年はバンブー(竹)づくりを取り入れたエコロジーなデザインの建物が人気です。多種多様なコントラクター(建築業者)が存在するので見積りを比較して検討することをお勧めします。
完成までは色々な手間がかかりますが、自分のドリームハウスを建てるという経験ができることも醍醐味です。
自分にあった別荘(ヴィラ)の見つけかた
このパートでは自分にあった物件を見つけるために、別荘所有の目的を「プライベートの場合」と「投資の場合」という視点で考察してみました。
プライベート使用目的なのか、投資目的なのかによってロケーション選びの判断基準も変わってきます。
プライベートのために別荘を使う場合
自分や家族の住居として使用する場合は、住環境や生活の利便性が重視されます。
建物の安全性、セキュリティー面、道路の道幅、駐車場、スーパーやコンビニまでのアクセス、お子さんがいる場合はインターナショナルスクールまでの通学にかかる時間などがポイントとなりますね。
山や自然が好きな人であれば、繁華街から離れた喧噪の少ない場所の方が快適に過ごせると思います。
バケーションを過ごすために別荘を所有しているオーナーの例では、会社の接待客のおもてなしをする場所として使用したり、社員が休暇を楽しめる保養施設のように使われているプライベートヴィラなどがあります。
投資のために別荘を所有する場合
別荘(ヴィラ)を収益物件として運用してインカム収益を狙う場合は、宿泊需要や賃貸需要のあるロケーションを選ぶことがもっとも重要です。
ビーチが近い、流行のカフェやレストランが多い繁華街に近いなど、人が集まる要素が多いエリアは収益物件として最適です。観光エリアではデイリー宿泊運営が可能なので宿業としてのポテンシャルが高くなります。
リースホールドの土地の方がフリーホールドよりも安く仕入れることができるという点では投資効率性が良く、上手くいけばリース期間内に投資費用を回収し、残存期間の年数分を売ることができればキャピタル収益を得ることも可能です。
フリーホールドの場合は、仕入れ価格は高くなりますが、所有期間の縛りはないため、将来的な土地の値上がりをじっくりと待ちながら売却を検討することができます。
昨今はディベロッパーや個人投資家によるコンプレックスヴィラの建売も盛んで、外国人向けにはリースホールドの条件を組んだ案件が多く、国内のインドネシア人向けにはフリーホールドの物件が数多く販売されています。
バリ島の人気エリアの土地は既にけっこう値上がりしてしまいましたが、バリの離島(レンボンガン島やヌサプニダ島)、ロンボク島、フローレス島、ロテ島など、インドネシアの他の島々ではビーチフロントやクリフトップなどのプレミアムロケーションであっても、まだ値上がりしていない土地が多いので、安いうちに購入しておくということがまだ可能です。
不動産会社のホームページで物件情報を見比べる
売り出し中の別荘(ヴィラ)の物件情報は、現地の不動産会社のホームページやネット掲示板、SNSなどで日々新たな情報が公開されています。
掘り出し情報もたまにありますが、気をつけなくてはいけないケースもあるので情報元をしっかりと確認しましょう。
物件情報はインターネットで簡単に調べられる
「VILLA FOR SALE BALI(ヴィラ 売り出し中 バリ)」とネット検索すると、現地の不動産会社のホームページが紹介している、別荘売り出し情報のページが沢山出てきます。
プライベートヴィラ、コンプレックスのヴィラ、ディベロッパーのプレビルド物件など色々出て来ますでの、ご予算やロケーション、所有形態、土地サイズ、建物の構成など、条件を絞り込んで物件を比較してみましょう。
フリーホールドの物件は「Freehold・FOR SALE」、リースホールドの物件は「Leasehold・FOR LEASE」という表記がされています。
SNSやネット掲示板の情報には気をつけましょう
いまは誰もがSNSを駆使して情報を交換できる時代です。
SNSやネット掲示板には、別荘のオーナーが売り出し物件の情報を直接SNS投稿しているものもありますが、オーナーではない仲介者が投稿を行っている情報も多く見受けられます。
売買取引のサポートをしっかり行える専門業者や不動産会社であれば大丈夫ですが、仲介業免許を持たない個人のブローカーやオーナー直接取引の場合は、契約や権利関係のことをよく判らずに購入の話が進んでしまい、契約段階でトラブルに合うというケースもしばしばあるので、まずは信頼できる業者に物件探しのサポートを依頼した方が安全です。
現地に足を運び実際に見てみる
不動産会社が公開している物件情報の中で気に入ったものがあれば、担当者とアポを取り、現地にある物件を見に行くことができます。
内見する時に見るべきポイントを簡単にまとめてみました。投資用物件を探す場合はこれらに加えて集客に適したロケーションか、利用者の需要があるかどうか見定めていきます。
- 周辺環境(騒音や水害などは無いか)
- 道路の幅(車が十分通れるか)
- 間取りや設備(広さや機能の確認)
- 日当たり(方角の向き)
- 水回り(キッチン、浴室、トイレ)
- 生活用水(地下水組み上げが、PDAMか)
- 雨季対策(暴風雨の時に大丈夫か)
- 備え付いているもの(家具や電化製品などは含まれるか)
別荘をレンタルして泊まってみる
他の人が所有している別荘を借りて泊まってみるのも良い体験になります。実際に自分が泊まって使ってみると、「浴室はもっと広い方がいいな」とか「プールよりも庭があった方がいいな」といった自分の好みや使用感がわかるのでお勧めです。
プライベートヴィラ(一軒家別荘)も、Airbnbでは非常に多くのレンタルヴィラが登録されており、1泊だけでも宿泊できる物件が沢山あります。
移住などの長期滞在の場合は、まず気に入ったエリアにあるヴィラを一か月ぐらい借りてみることをお勧めしますが、一か月以上のマンスリーレンタル別荘を探す時は、不動産会社の物件情報から探すことができます。
契約はプロに任せること
海外での不動産の契約は、慣れないうちは取引実績や経験が豊富な現地の不動産会社に依頼するのが一番安全な方法です。
信頼できる業者かどうかを判断するためのポイントいくつか挙げてみます。
契約の流れを判りやすく説明してくれるか
フォローアップをしっかり行ってくれるか
別荘所有の目的をきちんと理解してくれるか
良い不動産会社の場合は取引がスムーズに行われるよう、最後まで細やかな対応をしてくれます。
売買契約の際はNotaris(ノタリス)と言われる行政書士が、売主と買主を交えて契約書の作成を行います。契約書はすべてインドネシア語で作成されるため、通訳や要点翻訳は不動産会社でも行ってくれますが基本的にやり取りの言語は英語となります。
契約締結のための書類提出などのフォローアップはノタリスでは行ってくれない場合が多いため、手続きを最後までフォローアップしてくれる不動産会社の存在はとても頼りになります。
別荘所有の目的を聞いて、こちらの意図を理解してくれる担当員は、様々な提案をしてくれるのでアイディアが広がります。初めての別荘探しは、まずは現地の不動産会社を訪問して情報を貰いましょう。
まとめ
海外に別荘を所有するというのは、現地の事情を知らない人にとってはハードルの高い選択肢であると考えられます。
所有の方法がやや複雑ですが、バリ島はハワイよりも物価が安く、不動産も様々な選択肢があります。
その場所を旅行で訪れたり、実際に別荘に泊まって体験してみることをお勧めします。Airbnbやバケーションレンタルで気軽に泊まれるのでまずは色々なヴィラに泊まってみましょう。